副業や起業に関心を持ちながらも、「自分には特別なスキルがない」「何をしたらいいかわからない」と感じている方は多いのではないでしょうか。
私の事務所にも、そんなお悩みを抱えて相談に来られる方が少なくありません。
しかし、そうした中でいつも印象に残るのは――「できるかどうか考えるより、まず動いてみる人」が、最終的にチャンスをつかんでいるように思います。
今回は、軽キャンピングカーのレンタカー事業を副業として始めた『元祖バラドル』松本明子さんのエピソードをもとに、「やりたいこと」と「できること」をつなぐ現実的な行動力について考えてみたいと思います。

やりたいことがあっても、動けない理由
「やりたいことはあるけれど、失敗が怖い」「時間もお金も足りない」――そう感じるのは当然です。
特に40代以降は家庭や仕事の責任も重く、「今さらチャレンジしても…」というブレーキが働きがちです。
ですが、多くの相談を受けていると気づくのは、“完璧に準備できてから始めた人”は一人もいないということ。
実は、どんな成功者も最初の一歩は「仮で動いてみた」「小さく動いてみた」という方が多いように見受けられます。
松本明子さんの副業に見る「現実的な行動力」
松本明子さんがキャンピングカーレンタル事業を始めたきっかけは、健康のための登山からでした。
交通費や宿泊費を節約したいという「生活者としての悩み」が、やがて新しい事業のアイデアへとつながったのです。
ここで注目したいのは、松本さんが「理想」からではなく「不便さ」から動いたという点。
「自分が困っていること」を出発点にしたからこそ、同じ悩みを持つ人のニーズを掴むことができました。
さらに彼女は、所属事務所に副業の許可を求め、運輸局の許可や事業計画を整えるなど、地道な準備を半年かけて行っています。
この一連の行動はまさに、「やりたい」と「できる」を現実的に橋渡しした好例です。
“描いた理想”を一歩ずつ形にする方法
松本さんのような行動力を生むポイントは、次の3ステップにあります。
- 理想を「言葉」にしてみる
頭の中のモヤモヤを、まずは紙やノートに書き出す。 - 「できる形」に小分けする
たとえば「お店を持つ」なら、最初は「1日レンタルで試す」など、スモールステップにする。 - 調べるより、会って聞く
ネット情報だけに頼らず、実際にやっている人・専門家に会うことで現実感が生まれる。
この3つを繰り返すだけでも、夢はぐっと現実に近づきます。
行政書士として見てきた「動ける人・動けない人」の差
私がこれまで関わってきた副業・起業支援の中で、行動できる人には共通点があります。
それは「全部を理解してからやろうとしない」ことです。
一方で動けない人は、「もっと勉強してから」「失敗しない方法を見つけてから」と考えすぎてしまう。
実務の現場では、“正確さよりスピード”が成功の分かれ目になることが多いのです。
もちろん、法的な許認可や契約上のリスクは慎重に扱う必要があります。
しかし、そこは行政書士などの専門家に相談すれば、しっかりサポートできます。
「全部自分で背負わない」ことが、実は行動のコツなのです。
副業や起業を始める前に考えておきたい3つの現実
「時間」はお金と同じ資源である
副業を始めると、休みが減ります。計画的なスケジュール管理が必要です。
「固定費」は想像以上に重い
松本さんも駐車場代や保険料に悩まされていました。費用の試算は事前に必須。
「想い」が折れない仕組みをつくる
利益が出にくい時期こそ、「誰のためにやるか」を見直すことが大切です。
「やりたい」と「できる」を橋渡しする法的準備
副業・起業では、次のような法的ステップを踏むと安心です。
- 副業許可・兼業規定の確認(会社員・芸能事務所所属の場合)
- 事業計画・契約内容の明確化
- 必要に応じた許認可(例:レンタカー業は運輸局の許可)
- 税務・社会保険の整理(副収入が増えたときの備え)
これらを「始めてから慌てる」ケースが非常に多いため、最初に専門家へ相談することで、行動のスピードを保ちながら安心して進められます。
まとめ:行動の先にしか見えない景色がある
松本明子さんのように、「まず動いてみる」ことで見える景色があります。
完璧さを求めるより、“できる範囲からやってみる”勇気が、次のチャンスを呼び込みます。
私自身も、行政書士として開業したので「こんなにやることが多いのか」と戸惑いました。
しかし、ひとつひとつ行動を積み重ねるうちに、信頼と経験が少しずつ形になっていきました。
「やりたいこと」と「できること」をつなぐ道は、最初から整っているわけではありません。
けれども、歩き出した人にしか、その先の景色は見えないのではないでしょうか。
