「副業を始めたけど、思ったより儲からない」「それでも不思議と続けたい」。
そんな声を、私は日々の相談の中でよく耳にします。
利益が出ないのに続ける――一見、非合理に思えますが、実はそこにビジネスの本質が隠れていることも多いかもしれません。
前回に引き続き、タレントの松本明子さんの副業ストーリーを通じて、小さなビジネスを無理なく続ける工夫を考えてみましょう。

儲からないけど、なぜか辞められない――その理由は?
人が副業や小商いを続ける理由は、必ずしも「お金」ではありません。
お客さんの「ありがとう」や、「自分の好きなことを形にできた」という満足感が、次の原動力になります。
私の相談者の中にも、ハンドメイド雑貨、家庭菜園、週末カフェなど、利益はわずかでも長年続けている方がいらっしゃいます。
共通しているのは、「心が動く瞬間を大事にしている」ということ。
儲けよりも、「誰かが喜ぶ」「自分らしくいられる」ことを目的にしているようです。
松本明子さんの“赤字でも続けたい” 副業に見るリアル
松本明子さんの軽キャンピングカーレンタル事業も、実際には「なかなか黒字にならない」と語られています。
それでも続けられるのは、お客さまが「楽しかった」「また借りたい」と笑顔で帰ってくる瞬間があるから。
その喜びが、経営のエネルギーになっているのです。
彼女の言葉には、「タレント業も、お客さま商売も同じ。喜ぶ顔を見たいというのが原動力」とありました。
この“サービス精神”こそ、どんな時代にも強い「人間力経営」の基盤なのかもしれません。
小さなビジネスを続ける3つの支え「人・仕組み・気持ち」
続く事業には、次の3つの要素が必ず存在します。
- 人(つながり)
応援してくれる人、リピートしてくれるお客さん、相談できる仲間。
この“関係資産”があるほど、事業は長持ちします。 - 仕組み(しくみ化)
予約・決済・在庫など、ルーチンを自動化。
松本さんのように点検や清掃をルール化するだけでも、ストレスが減ります。 - 気持ち(心のリズム)
利益が少なくても、「これが自分らしい」と思える心の納得感。
仕事が“生活のリズム”に溶け込むと、無理なく続けられます。
「続く事業」と「続かない事業」の違い
長く続く方と途中で辞めてしまう方の違いは、次のような点にある場合が多いように思います。
- 続く人:「目的」より「プロセス」を楽しんでいる
- 続かない人:「結果」にばかり焦点を当てている
たとえば、「儲かったら会社を辞めたい」と考える方は、結果が出る前に心が折れてしまうことが多い。
一方で、「やってみたいことを続けていたら、いつの間にかお客さんがついてきた」という人は、自然に事業が育ちます。
「小さくても継続できる仕組み」を早めに作ることが重要だということです。
固定費を抑え、情熱を長持ちさせる経営の工夫
松本さんも語っていたように、レンタカー業では「駐車場代や保険料が重い」といった現実があります。
これは多くの副業者・個人事業主にも共通する悩みです。
そこでおすすめしたいのが、“定期支出を最小化する工夫”です。
- 共同スペースやシェアオフィスの利用
- 月額契約より「利用ごと精算」に切り替え
- 家賃やリース代を経費化できるか税理士に相談
「固定費を減らす=自由度を増やす」ことでもあります。
赤字覚悟でも楽しみたい副業ほど、支出の見直しが生命線です。
補助金や助成金で「楽しい副業」を守る方法
国や自治体の補助金は、実は“趣味と実益の間”のビジネスにも使えるものがあります。
代表的なものを挙げると――
- 小規模事業者持続化補助金(販促やウェブ制作費などに活用可能)
- 創業助成金(東京都など)(新規開業時の家賃・広告費を一部補助)
- IT導入補助金(予約システムやオンライン化の費用に)
これらを上手に活用すれば、「楽しいから続けたい」を“続けられる仕組み”に変えることができます。
行政書士としても、補助金の書類づくりや事業計画のサポートを行っていますが、申請時点で目的が明確な方ほど採択率が高い傾向にあります。
まとめ:利益よりも“喜ばれる実感”を糧に
「儲からないけど楽しい」。
この言葉の裏には、「自分の力で誰かを喜ばせたい」という強い想いがあります。
小さなビジネスの価値は、数字よりも“続けていること”そのものにあります。
続けていくうちに、口コミが生まれ、信用が積み重なり、いつしか形を変えて成長していく。
私が応援したいのは、まさにそんな“静かな挑戦者”たちです。
今日もまた、自分らしいペースで動き続ける人たちに、心からエールを送りたいと思います。
