【学習塾・教室向け】日本版DBS認定に必須!「安全管理体制」と「内部規程」の整備ポイント|行政書士が解説

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日本版DBSの認定を取得することは、子供たちの安全を守る組織であるという「信頼の証」を得ることを意味します。

しかし、認定申請の準備を進める経営者様から、このような相談を頻繁にいただきます。

「もし、従業員に性犯罪歴ありという通知が届いたら、組織としてどう動けばいいのか?」

この「もしも」の時の動きが曖昧なままでは、国からの認定を受けることはできません。なぜなら、認定要件の一つとして「犯罪事実確認後の対応フロー」が明確に文書化されていることが求められるからです。

今回は、認定申請のプロフェッショナルである行政書士の視点から、認定取得のために整備しておくべき「安全管理体制」と、申請時に必要な「内部規程(ルールブック)」のポイントについて解説します。

目次

認定の絶対条件「児童等対象業務に従事させない」体制とは

まず、日本版DBS法(こども性暴力防止法)の核心部分を確認しましょう。
国への照会の結果、性犯罪歴が確認された場合、事業者は以下の措置を講じることが法律で義務付けられています。

「児童等対象業務(子供と接する業務)に従事させてはならない」

これは「努力目標」ではなく「絶対的な義務」です。認定申請を行う際、事業者は国に対して、「万が一の際、確実にそのスタッフを子供から遠ざけることができる体制(仕組み)」があることを証明しなければなりません。

小規模な学習塾やスポーツ教室であっても、「うちは人数が少ないから曖昧でいい」とはなりません。だからこそ、事前の「書類整備」が重要になるのです。

申請に必須!整備すべき3つの「内部規程」ポイント

日本版DBSの認定申請書には、「児童対象性暴力等対処規程」などの添付書類が必要です。これは単なる形式的な書類ではなく、現場の運用ルールそのものです。行政書士が作成支援を行う際、特に重視する3つのポイントをご紹介します。

① 「配置転換」の定義と業務分掌の明確化

性犯罪歴が確認されたスタッフを「子供と接する業務」から外す際、具体的に「どの業務なら従事可能なのか」、あるいは「従事できる業務が社内に存在しないのか」を明確にする必要があります。

これを口約束で済ませるのではなく、「組織図」や「業務分掌規程」において定義します。

  • A業務: 直接指導(子供と接する・DBS対象)
  • B業務: 教材作成・経理(子供と接しない・DBS対象外)

このように業務を明確に区分けし、文書化しておくことが、認定審査における重要なアピールポイントとなります。

② 「確認プロセス」のルール化(フローチャート)

誰がシステムにログインし、誰が結果を確認し、誰が本人に通知するのか。この「情報管理と意思決定のフロー」が定まっていないと、情報漏洩や対応の遅れに繋がります。

認定申請においては、以下のような具体的なフローの構築が求められます。

  1. 申請責任者がシステムで照会
  2. 結果受領(閲覧権限者の限定)
  3. 代表者による対応措置の決定
  4. 対象者への通知と面談実施

行政書士は、貴社の規模に合わせた無理のない「対応フロー図」の作成を支援します。

③ 採用時の「誓約書」フォーマットの整備

制度運用をスムーズにするための「入り口」対策も重要です。認定事業者は、採用プロセスにおいて求職者から以下の同意を得る体制が必要です。

  • 日本版DBSの確認手続きを行うことへの同意
  • 過去に特定性犯罪歴がないことの自己申告
  • 虚偽申告があった場合の不利益事項への同意

これらの項目を網羅した「誓約書・同意書」のひな形を用意し、採用マニュアルに組み込むことが、コンプライアンス体制の第一歩です。

※重要:労務リスクと専門家連携について

「配置転換できる部署がない場合、解雇できるのか?」
「就業規則の懲戒規定はどう書けばいいのか?」

これらは、認定取得のための「体制整備」から一歩進んだ、具体的な労働法務(社会保険労務士・弁護士領域)の問題となります。不用意な規定や処分は、不当解雇などの深刻な紛争を招くリスクがあります。

当事務所では、認定申請に必要な「規程の作成」や「体制構築」をメインに支援いたしますが、就業規則の変更や具体的な労務トラブルの予防については、DBS制度に精通した提携社会保険労務士・弁護士とチームを組んでワンストップで対応いたします。

「書類作成」から「法的リスクケア」まで、隙のない体制づくりをお約束します。

まとめ:認定取得は「ルール作り」から始まる

日本版DBSの認定申請は、単に申請書を出せば終わりではありません。国が求めているのは、「子供たちの安全をシステム(仕組み)として守れる組織であること」の証明です。

今回のポイント

  • 「もしも」の時の動きを文書化(規程化)することが認定の条件。
  • 業務の切り分けや対応フロー図の作成が必要。
  • 採用時の誓約書フォーマットも整備する。
  • 深い労務判断は、専門家チームで対応する。

当事務所は、行政書士として、認定申請に必要な「児童対象性暴力等対処規程」などの書類作成や、「業務フローの設計」を全力でサポートします。
「ウチの教室の場合、どんな規程が必要?」と迷われた方は、ぜひ一度ご相談ください。

次回は「【情報管理】そのファイル、どこに保存していますか? 厳格な『情報管理規程』の構築と運用」。 国から受け取った重要データを守るための、具体的なセキュリティ体制(鍵管理やアクセス権限)について解説します。

今回は、日本版DBS導入にあたって経営者が直面する「人事・労務上の課題」と、トラブルを未然に防ぐために整えておくべき「社内ルールのポイント」について解説します。

制度の解説だけでなく、私がなぜここまで日本版DBSに情熱を注いでいるのか、その「原点」と「決意」を綴りました。ぜひ一度お読みいただければ幸いです。

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