【民間教育・スクール事業者全般】日本版DBSは「義務」か「任意」か? 制度の仕組みと“認定取得”の判断基準

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2026年12月の施行に向け、制度設計が進む「日本版DBS(こども性暴力防止法)」。
様々な情報が飛び交う中、民間事業者の皆様から最も多く寄せられるご質問は、やはりこの一点に尽きます。

「私たちの事業は、法律の対象になるのでしょうか?」

本日は、行政書士の視点から、現在公表されている政府資料に基づき、制度の適用範囲と「認定」の仕組みについて解説します。

※本記事は2025年11月21日時点の中間とりまとめ案等の情報に基づいています。今後、こども家庭庁より公表されるガイドラインや内閣府令により、詳細な運用ルールが変更となる可能性がありますのでご注意ください

目次

誤解①:「こどもに関わる仕事はすべて義務化される」

【正解】民間事業者は法律上「認定制度(任意)」という枠組みになります。

日本版DBS法では、事業者を大きく2つに区分しています

  1. 義務対象事業者(認可事業者)
    • 学校、認可保育所、認定こども園、児童養護施設など。これらは性犯罪歴の確認が「義務」です。
  2. 認定対象事業者(民間事業者)
    • 学習塾、スポーツクラブ、スイミングスクール、放課後児童クラブ(民営)、認可外保育施設など。
    • これらは、国に申請して「認定」を受けた場合のみ、制度の対象となります。

つまり、民間事業者にとって本制度への参加は、法律上は「任意」です。
認定を受けないことをもって、直ちに法律違反となったり、営業停止になったりすることはありません。

しかし、国は認定を受けた事業者に対し、「認定マーク」の使用や、公式サイトでの公表といったメリットを用意しています。今後、保護者が事業者を選ぶ際の指標の一つとなる可能性があるため、「自社の信頼性を高めるために認定を取得するかどうか」という経営判断が求められることになります。

誤解②:「個人経営だから関係ない」

【正解】スタッフが「3人以上」いれば、認定の対象となる可能性があります。

「認定を取りたい」と手を挙げても、すべての事業者が認められるわけではありません。
逆に、「自分は規模が小さいから関係ない」と思っていても、実は要件を満たしている場合があります。

民間教育事業者(学習塾やスポーツクラブ等)が認定を受けるための要件の一つに、以下の規定があります。

児童等に対して技芸又は知識の教授を行う者の人数が、政令で定める人数以上であること。

現在検討されている政令案では、この人数は「3人以上」となる見込みです。重要なのは、ここでの人数には、正社員だけでなく、実態として指導にあたるパート・アルバイト、派遣社員、ボランティアも含まれるという点です。

例えば、「代表者1名と、学生アルバイトの講師2名」で運営しているスクールであっても、合計3名となるため、他の要件(対面指導であること等)を満たせば認定申請が可能となる見込みです。

誤解③:「2026年12月スタートだから、まだ何もしなくていい」

【正解】認定を目指すなら、既存スタッフへの対応準備が必要です。

「制度開始はまだ先」と思われるかもしれませんが、認定取得を検討されている場合は、早めの準備が推奨されます。

日本版DBSの認定を受けると、新規採用者だけでなく、「現在雇用している全従業員(認定時現職者)」についても、認定から1年以内に性犯罪歴の確認を行う義務が発生します。

長年勤務しているスタッフに対し、「認定取得に伴い、性犯罪歴の確認が必要になる」という説明を行い、理解を得るプロセスは一朝一夕にはいきません。また、就業規則の改定や、万が一犯歴が確認された場合の配置転換ルールの整備など、社内体制の構築にも時間を要します。

他社に先駆けて体制を整えることは、コンプライアンス意識の高さを示すことにも繋がります。

【よくあるご質問】

Q. 認定を受けないと営業できなくなるのですか?
A. いいえ、営業停止になることはありません。本制度はあくまで「認定制度」ですので、未取得でも営業は継続可能です。ただし、今後の市場環境を考えると、保護者からの信頼獲得において不利になる可能性は否定できません。

Q. 個人事業主でも認定は取れますか?
A. 法人でなくても申請は可能です。ただし、「児童等に対して指導を行う者が3人以上」などの要件を満たす必要があります。いわゆる「一人親方」の教室の場合は、現時点では認定の対象外となる見込みです。

Q. 認定申請の費用はかかりますか?
A. はい、申請手数料として実費相当額(3万円程度を想定)の納付が必要となる見込みです。また、行政書士等の専門家に手続きを依頼する場合は、別途費用が発生します。

まとめ:自社の事業に合わせて冷静な判断を

  1. 民間事業者は「任意参加」。経営戦略として取得を検討する。
  2. スタッフ「3人以上」なら、小規模でも認定の可能性がある。
  3. 認定を目指すなら、既存スタッフへの説明や規定整備などの準備を少しずつ始める。

日本版DBSは、こどもたちの安全を守るための重要な社会インフラです。
当事務所では、最新の法令情報に基づき、貴社の事業が認定要件に合致するかどうかの予備診断や、導入に向けたロードマップ作成のご支援を行っております。

まずは現状の整理から、お気軽にご相談ください。

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