【ゼロからわかる日本版DBS #04】「認定を取らないという選択はあり?」選ばれる教室になるための経営戦略

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「認定制度が『義務』なのは学校や保育所だけで、学習塾は『任意』ですよね?」
「うちは個人経営に近いし、手間をかけてまで認定を取らなくてもいいですよね?」

前回、認定取得には年間20万円相当以上の事務コスト(手間)がかかるという試算をご紹介しました。

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それを見て、「そこまで負担が大きいなら、あえて認定を取らない」という選択を考えた経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、結論から申し上げますと、長期的に教室経営を続けていくつもりであれば、「認定を取らない」という選択肢は、極めてリスクが高いと言わざるを得ません。

国(こども家庭庁)も今回の制度施行に向け、事業者への周知だけでなく、「こどもや保護者を含む国民全体」に対する広報・啓発に多額の予算を投じて取り組む方針です。

https://www.cfa.go.jp/policies/budget

今回は、なぜ「任意」のはずの認定が実質的な「標準装備」となっていくのか。
その理由を、法律とマーケティングの両面から解説します。

目次

「認定マークがない」=「選ばれない」時代へ

最大の理由は、前回ご紹介した「認定事業者マーク(こまもろうマーク)」 の存在です。

2026年末の制度開始以降、保護者が習い事を探す際の行動は確実に変わっていくでしょう。
ウェブサイトやパンフレットに「このマークがあるかどうか」を、安全の指標としてチェックするようになるからです。

「なぜ、あの教室にはマークがないの?」という疑念

制度が普及すればするほど、認定を受けていない事業者は、保護者から以下のような目で見られるリスクに晒されます。

  1. 「安全対策にお金をかける気がないのか?」  (安全軽視)
  2.  「もしかして、認定を取れない『理由』があるのでは?」  (不信感)

真面目に運営していたとしても、マークがないだけで「グレー」に見られてしまう。
これがマーケティング上の最大の損失です。
競合の教室がこぞって認定を取得し、「当教室は国の認定を受けています」とアピールし始めたとき、認定のない教室は、それだけで選択肢から外れる可能性が高まります。

認定を取らなくても「逃げられない」責任

「認定を取らなければ、面倒な義務(犯歴確認や研修など)も発生しないだろう」と考えるのは早計です。

実は、こども家庭庁は認定制度とは別に、「教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針(通称:横断指針)」というガイドラインを策定しています(横断指針は、法律に基づくものではなく、本横断指針の策定により、事業者に対して新たに義務が課されるものではありません)。

https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou/odanshishin

この指針は、認定を受けていない事業者も含めた、「こどもと関わる全ての事業者」を対象としています。

「知らなかった」では済まされない経営リスク

この「横断指針」には、認定事業者でなくても取り組むべき事項として、以下のような内容が明記されています。

  • 性暴力は生じ得るとの意識を持つこと 
  • 未然防止(死角をなくす環境整備など)に取り組むこと 
  • 被害が疑われる場合は、重く受け止めて対応すること 

そして、これらに適切に対応しないことは、「重大な経営リスク(被害者側からの使用者責任の追及などの法的リスクを含む)」であると、はっきり警告されています。

つまり、認定を取ろうが取るまいが、事業者は「こどもの安全を守るための体制整備」から目を背けるわけにはいかないのです

体制整備をする必要があるのなら、認定を取得して「マーク」という形で対外的にアピールできるようにした方が、経営的なメリット(費用対効果)は大きいと言えるでしょう。

「安全」は付加価値ではなく「前提条件」に

かつて「食品の安全性」や「個人情報の保護」が企業の差別化要因だった時代がありました。
しかし今は、それらは守れていて当たり前の「前提条件」です。
こども向けの教育サービスにおいても、同じことが起ころうとしています。

 「こどもを性暴力から守る仕組みがあること」 

これは今後、優れた指導カリキュラムや合格実績以前の、「教室としての土台(インフラ)」  になると私は考えています。

結論:早期の取り組みが最強のブランディング

まだ制度開始前だからこそ、今のうちから準備を始め、制度開始と同時に認定を取得することは、  「こどもの安全を最優先に考える、意識の高い事業者である」 という強力なメッセージになります。

「義務ではないから様子見」ではなく「任意だからこそ率先して取る」

その姿勢こそが、保護者からの信頼を勝ち取り、少子化の時代にも「選ばれる教室」であり続けるための最良の経営戦略です。

ここまでで、制度の全体像と経営的な位置付けを解説してきました。
次回からは、いよいよ「実践編」  に入ります。

認定申請する前に、まずは社内で片付けておくべき「4つの宿題(安全確保措置)」があります。
これをクリアしないと、そもそも申請の土俵に乗れません。
具体的に何を準備すればいいのか、実務の視点で解説します。

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