【ゼロからわかる日本版DBS #14】フランチャイズや委託の場合はどうする?複雑なケースの整理|「本部の認定」で安心していませんか?

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前回(第13回)は、認定取得後のメリットである「公表」と「表示(マーク)」について解説しました。

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【ゼロからわかる日本版DBS #13】認定後の「公表」と「認定事業者マーク表示」のルール|その使い方はOK... 日本版DBS認定後は、国による公表と「こまもろうマーク」の使用が可能になります。求人票への掲載は防犯に有効ですが、認定外事業との混同や、回収できないグッズ(ボールペン等)への使用は禁止されています。運用上の盲点とNG例を解説します。

今回は、学習塾やスポーツクラブなどでよく見られる「フランチャイズ(FC)」や「業務委託」「派遣」といった、権利関係が複雑なケースでの認定ルールについて解説します。

「うちは大手のフランチャイズ加盟店だから、本部が認定を取ればウチも自動的にOKだよね?」

「スイミングスクールのコーチは派遣会社から来てもらっているから、チェックは派遣元がやるんでしょ?」

もしそう思われているとしたら、ちょっと待ってください。

こども性暴力防止法では、こうしたケースにおける「誰が申請し、誰が責任を負うか」というルールが厳格に決められています。ここを間違えると、「認定されているつもりだったのに、実は無認定営業(虚偽表示)だった」という事態になりかねません。

今回は、複雑な3つのパターン(フランチャイズ、共同認定、派遣・委託)について、専門家の視点から整理します。

目次

フランチャイズの罠:「本部の認定」は加盟店に及ばない

学習塾などで最も多いのがフランチャイズ形式です。

結論から言うと、「本部(フランチャイザー)が認定を受けても、加盟店(フランチャイジー)は自動的には認定されません」。

なぜ?

日本版DBSの認定は「事業者(法人や個人事業主)」単位ではなく、「事業」単位で行われますが、その実施主体が別法人(別事業主)であれば、それぞれが申請する必要があります。

加盟店が独立した法人や個人事業主として教室を運営し、スタッフの採用・管理を行っている場合、加盟店自身が「民間教育保育等事業者」として認定申請を行わなければなりません

【盲点】本部のマークを勝手に使ってはいけない

もし、加盟店が自ら認定を受けていないにもかかわらず、本部の指示や支給品だからといって「認定事業者マーク(こまもろう)」を掲げてしまった場合、加盟店側が「虚偽表示(罰則あり)」に問われるリスクがあります。

本部が認定を取得したとしても、「それは直営店だけの話」である可能性があります。
FCオーナー様は、必ず本部に対して「加盟店としての申請はどうなるのか?」を確認してください。

※なお、申請書には「フランチャイズチェーンの方式により、別の事業者が同一事業を行っている」旨を記載する欄があり、公表時にもその旨が注記されます。

「共同認定」という選択肢(委託・指定管理)

次に、自治体の放課後児童クラブや、企業の事業所内保育所などで、運営を外部委託しているケースです。この場合、施設の設置者(委託元)と運営者(委託先)がペアになって申請する「共同認定」という仕組みが用意されています。

共同認定のスキーム

  • 申請者
    設置者(民間教育保育等事業者)と運営者(事業運営者)が共同で申請します。
  • 役割分担
    どちらが何をするか、あらかじめ決めておく必要があります。
    • 犯歴確認
      原則として、雇用主が行います(委託先がスタッフを雇っているなら委託先が実施)。
    • 安全確保措置
      現場での見守りや研修などは、双方が連携して実施します。

メリット

「丸投げ」を防ぐ仕組みです。委託元は「任せたから知らない」では済まされず、委託先も「言われてないからやらない」では通りません。双方が法的な責任を持ってこどもの安全を守る体制を作ることができます。

派遣・業務委託スタッフ:チェックするのは「受け入れ側」!

最後に、最も勘違いが多い「派遣スタッフ」や「業務委託コーチ」の扱いです。例えば、スイミングスクールが「指導は外部のスポーツインストラクター派遣会社に委託している」という場合、誰がインストラクターの犯歴確認を行うのでしょうか?

答えは、「受け入れ側(スクール側)」です

法律のロジック

日本版DBSでは、「こどもと接する業務を行わせる事業者(派遣先・発注者)」に義務を課しています。

派遣元(派遣会社)は、どこの現場に行くかわからないスタッフ全員の確認を一律に行うわけではありません。あくまで「こどもと接する現場」を持つ事業者が、自分の責任において、そこに来るスタッフの確認を行わなければなりません。

実務上の対応策

しかし、派遣先には人事権(採用・不採用を決める権利)がありません。そこで、以下のような運用が必要になります。

  1. 契約の見直し
    派遣契約や業務委託契約に「日本版DBSの確認(戸籍提出等)に応じない、または確認の結果『おそれあり』と判断された場合は、担当者の交代(変更)に応じること」を盛り込みます。
  2. 本人への説明
    まず派遣元から「派遣先でのチェックに応じるように」と指示を出してもらいます。その上で、派遣先(あなた)から本人に対し、直接制度の説明を行い、システムでの申請(戸籍提出等)を依頼します。
  3. NGだった場合の対応
    ここが最大の注意点です。もし犯歴確認の結果が「クロ」だった場合でも、派遣元に「この人は前科がありました」と伝えてはいけません(法律で禁止されています)。派遣元には「法律上の『おそれ』があると判断したので、契約に基づきスタッフを交代してください」とだけ伝え、具体的な理由は伏せたまま交代を求めることになります。

まとめ:契約形態を確認し、責任の所在をハッキリさせる

複雑なケースの整理をまとめます。

ケース誰が認定申請する?誰が犯歴確認する?
フランチャイズ加盟店(独立している場合)加盟店(雇用主)
運営委託委託元と委託先(共同認定)雇用主(通常は委託先)
派遣・業務委託受け入れ側(派遣先)受け入れ側(派遣先)

「うちは本部にお任せだから」「派遣会社がしっかりしているから」という思い込みが、最大のセキュリティホールになります。

特に派遣や委託スタッフを受け入れている事業者は、今のうちに契約書を見直し、相手方との協議を始めてください。

次回は、認定取得後の最大の実務、「既存スタッフ(現職者)」の犯歴確認フローについて解説します。「認定から1年以内」という期限の中で、どうやって全員の確認を完了させるか、具体的な段取りをお話しします。

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