【ゼロからわかる日本版DBS #16】新規採用時のフロー激変!「明日から来てね」とは言えなくくなります

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前回(第15回)は、既存スタッフ(現職者)の確認について、「1年以内」という猶予期間があることを解説しました。

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【ゼロからわかる日本版DBS #15】現職スタッフは「1年以内」に全員確認!認定時現職者の対応フロー|最... 認定取得後、1年以内に既存スタッフ全員の犯歴確認を行う義務があります。マイナンバーカードを用いたシステム申請が基本ですが、姓の変更等で「戸籍情報」の追加提出が必要になるケースも。拒否された場合の業務命令や配置転換のルールを、事前に就業規則で定めておくことが重要です。

これから新しく入ってくる「新規採用者」については、話が別です。

「明日から来てね」は、もう通用しません。

日本版DBSの認定事業者は、原則として「確認が終わるまで、現場(こどもと接する業務)に出してはいけない」という厳しい縛りがかかります。さらに、確認の結果「NG(犯歴あり)」が出た場合に備えて、求人を出す段階から法的な防衛線を張っておかないと、「内定を出したのに取り消せない」「不当解雇で訴えられた」という泥沼のトラブルになりかねません。

今回は、これからの採用活動で必須となる「内定後・勤務開始前」の確認フローと、採用担当者が絶対に知っておくべき「求人票・誓約書・内定通知書」の書き換えポイントについて解説します。

目次

タイミングは「内定後」かつ「配置前」

まず、最も重要な「犯罪事実確認のタイミング」についてです。

「怪しい人は面接の段階ではじきたいから、応募段階で全員チェックしたい」と思うかもしれませんが、それは法律上できません。

なぜ「内定後」なのか?

性犯罪歴は極めて機微なプライバシー情報であり、採用するかどうかも決まっていない人の情報をむやみに調べることは許されないからです。

ガイドラインでは、「採用内定」や「配置転換の内示」を出して、雇用契約が確実になった段階で初めてシステムへの申請ができるとされています。

「確認完了」まで現場には出せない

そしてもう一つの原則が、「結果(犯罪事実確認書)が届くまで、こどもと接する業務には就かせられない」という点です。

システムの処理期間は、日本国籍の方で「約2週間」とされています。つまり、採用スケジュールには、この「リードタイム(待ち時間)」を計算に入れておく必要があります。「急募!明日から勤務可」という求人は、事実上難しくなることを覚悟してください。

※どうしても急ぐ場合の特例(いとま特例)については、第18回で解説します。

トラブルを防ぐ「3つの防衛線」

「内定を出した後でチェックする」ということは、万が一「犯歴あり」と出た場合、「一度出した内定を取り消す」という非常に重い判断を迫られることになります。ここで準備不足だと、「内定取り消しは無効だ」と訴えられた場合に負けてしまうリスクがあります。

それを防ぐために、採用プロセスの各段階で以下の「3つの防衛線」を張っておくことが、ガイドラインでも強く推奨されています。

防衛線①:求人票・募集要項に「明記」する

求人を出す段階で、以下の2点をハッキリと書いておきます。

  1. 「性犯罪歴がないこと」が採用の条件であること。
  2. 日本版DBS(こども性暴力防止法)に基づく犯歴確認を実施すること。

これにより、やましいところがある人の応募を未然に防ぐ(スクリーニング)効果も期待できます。

防衛線②:面接時に「誓約書」を書かせる

面接や選考の過程で、本人に「私は特定性犯罪歴はありません」という自己申告を書面(履歴書や誓約書)で提出させます。これは、後で嘘だとわかった時に「経歴詐称」として内定取り消しや解雇を行うための重要な証拠になります。口頭での確認だけでは「言った言わない」になるので、必ず書面に残してください。

防衛線③:内定通知書に「取消事由」を入れる

内定通知書には、以下の条件を明記します。

  • 「日本版DBSの確認結果により、性犯罪歴が判明した場合は内定を取り消す」
  • 「正当な理由なく確認手続きに応じない場合は内定を取り消す」

これらが事前に示されていれば、万が一の際も「条件不成就」として、適法に内定を取り消せる可能性が高まります。

実際の申請フロー(システム入力)

内定を出し、本人の同意が得られたら、いよいよシステムでの申請です。

  1. 事業者による申請
    システムにログインし、内定者の氏名やメールアドレスを入力します。この時、「内定通知書の写し」や「雇用契約書案」など、採用の意思を証明する書類のアップロードが必要です。
  2. 本人による入力
    内定者にメールが届きます。本人はマイナンバーカードを使ってログインし、戸籍情報などを国に送信します。
  3. 結果の通知
    問題がなければ、事業者に「犯歴なし」の確認書が届きます。これを見て初めて、現場への配置が可能になります。

まとめ:採用担当者の意識改革を

これからの採用活動は、単に「いい人材を見つける」だけでなく、「安全な人材であることを証明する」プロセスが加わります。

  • 求人票の書き換えは済んでいますか?
  • 誓約書のひな型は用意できていますか?
  • 内定出しから勤務開始まで、2週間以上の余裕を見ていますか?

これらは「事務作業」ではなく、「教室とこどもを守るための必須の防衛策」です。
認定申請前の準備期間に、ぜひ社内の採用マニュアルを見直しておきましょう。

次回は、いよいよ「犯歴あり」という通知が来てしまった場合の対応について解説します。
「即解雇できる?」「どうやって本人に伝える?」といった、最もデリケートな問題に切り込みます。

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【ゼロからわかる日本版DBS #17】「犯歴あり」の通知が届いたらどうする?配置転換・内定取消の法的ルール 犯歴確認で「あり」と出た場合、本人の訂正請求期間(2週間)を経て事業者に通知されます。事業者は対象者を「こどもと接する業務」から外す義務(防止措置)を負います。内定者は取消しが可能ですが、現職者は配置転換が原則となり、即解雇は法的リスクがあります。

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