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副業・フリーランスの契約書は収益化前がカギ|初期に揃えるべき3つの必須契約書を解説

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「まだ売上もないのに契約書なんて…」

そう思って見切り発車した副業が、半年後に大きなトラブルに発展する——。
そんなご相談を、お受けすることがあります。

たとえば、デザインを納品したのに報酬が支払われなかったり、
自分が作った資料が別の会社で無断で使われていたり。

実はこうした問題は、「まだ収益化前だからこそ」起きやすいのです。
なぜなら、クライアントとの契約こそが、その後のビジネスの“型”になるからです。

今回は、行政書士の立場から、
副業初期に必ず整えておきたい3つの契約書と、そのチェックポイントを、
できるだけわかりやすく解説します。

目次

なぜ収益化“前”に契約書が必要なのか?

副業を始めたばかりの方にとって、契約書は「難しそう」「あとで考えよう」と後回しにされがちです。
ですが、契約書は“相手を疑うための書類”ではありません。自分を守り、信頼をつくるための仕組みです。

信頼構築のために

契約書を提示できる人は、それだけで「きちんとしている」という印象を与えます。
フリーランスや副業の方でも、契約書を準備しているだけで「この人は安心してお願いできそう」と思ってもらえるのです。

トラブルを防ぐために(予防法務)

報酬や業務範囲をめぐるトラブルの多くは、
「そんな話はしていない」「聞いていない」という“認識のズレ”から起こります。
契約書があれば、後からでも「この内容で合意しています」と冷静に確認できます。

条件交渉を有利に進めるために

条件を明確にした契約書があると、不当な値下げや追加要求にも冷静に対応できます。
「この契約条件に基づいて進めています」と、堂々と伝えられるのです。

契約書①:業務委託契約書(受託側)

使う場面:
デザイン・ライティング・コンサル・開発など、フリーランスとして仕事を請け負うすべてのケース。

「メールでやり取りしてるから大丈夫」と思いがちですが、
正式な契約書があるのとないのとでは、安心感がまったく違います。

最低限入れておきたい5つの条項

項目内容なぜ必要か
業務内容成果物の内容・範囲・修正回数「言った言わない」を防ぐ
報酬と支払条件金額・期日・振込手数料未払いリスクを回避
納期と遅延時の扱い納期・不可抗力・遅延損害金責任範囲を明確に
著作権の帰属譲渡の時期・範囲無断転用を防ぐ
秘密保持義務情報の取扱いルール情報漏えいを防止

行政書士からのワンポイント

契約書に「成果物の著作権は納品時に譲渡」とだけ書くと、報酬が支払われていない場合でも権利が移ってしまうおそれがあります。
安全策としては、

「報酬の完済をもって著作権を譲渡する」
と明記しておくことをおすすめします。

テンプレート活用の注意点

  • ネット上の無料テンプレートをそのまま使うのは危険。
     → 自分の業種や契約形態に合わせてカスタマイズを。
  • 相手から提示された契約書は、必ず内容を確認。
     → 不安な条項があれば、専門家に相談を。

実際、行政書士として「相手の契約書を読み直して修正する」ご相談をいただくことも多いです。

契約書②:利用規約(サービス提供側)

使う場面:
オンライン講座、デジタル教材販売、会員制サイトなど、不特定多数にサービスを提供する場合。

契約書が「1対1」の合意なら、利用規約は「1対多数」をカバーするルールブックです。

利用規約に必須の6項目

  1. サービス内容と利用条件
     提供内容・年齢制限・利用資格を明記。
  2. 禁止行為
     不正アクセス・転売・誹謗中傷など。違反時の対応も明示。
  3. 知的財産権
     コンテンツの著作権や、ユーザー投稿の扱いを定義。
  4. 免責事項
     サービス停止やデータ消失時の責任範囲。ただし過度な免責はNG。
  5. 損害賠償の範囲
     直接損害に限定し、上限を設定。
  6. 準拠法と裁判所
     日本法と、事業者所在地の裁判所を明記。

2024年法改正ポイント

  • 消費者契約法により「不当な免責条項」は無効
  • 特定商取引法で返品・キャンセル条件の表示義務
  • デジタルプラットフォーム取引透明化法(該当業者のみ注意)

ありがちな失敗例

❌「当社は一切の責任を負いません」
→ 消費者契約法により無効の可能性あり

⭕「当社の故意または重過失による場合を除き、間接損害については責任を負わない」

契約書③:プライバシーポリシー(個人情報取扱事業者)

使う場面:
お問い合わせフォーム・メルマガ登録・顧客データの管理など。

個人事業主であっても、1件でも個人情報を扱えば対象になります。

記載すべき主な内容

  • 事業者の名称・住所・代表者名
  • 利用目的(例:「お問い合わせ対応」「サービス改善」など)
  • 第三者提供の有無(メール配信ツール利用も含む)
  • 開示請求への対応方法
  • Cookie・アクセス解析(Google Analyticsなど)
  • 問い合わせ窓口(メールやフォーム)

実務ポイント

  • 5000件以下の個人情報でも適用対象(2022年改正)
  • 名刺情報も個人情報に含まれる
  • GoogleフォームやStripe利用時は「第三者提供」に該当する場合も

実践ステップ:3つの契約書を整える流れ

  1. ビジネスモデルを整理
     誰に・何を・どう提供しているのかを明確に。
  2. テンプレートをカスタマイズ
     信頼できる公的テンプレートをベースに、自分の業種リスクを反映。
  3. 専門家チェックを受ける
     行政書士によるレビューで、思わぬ抜け漏れを防止。
     (費用目安:1〜3万円。トラブル防止のための保険と考えましょう。)
  4. 定期的に見直す
     法改正や新サービス開始時に内容を更新。

まとめ:契約書は「信頼の証」であり、「安心の土台」

契約書は、相手を縛るためのものではなく、
あなた自身のビジネスを安心して続けるための武器です。

業務委託契約書・利用規約・プライバシーポリシーの3つを整えておけば、
仕事のトラブルを未然に防ぎ、取引先からの信頼も自然と高まります。

「まだ自分には早いかな」と思う段階こそ、契約の仕組みを整える絶好のタイミングです。
収益化前に小さく仕組みを整えておくことが、のちの大きな安心につながります。

もし今、

  • 契約書を作りたいけれど、何から始めればいいかわからない
  • 相手から提示された契約内容に不安がある
  • テンプレートを自分の事業に合わせて整えたい

そんなお悩みがあれば、一度ご相談ください。

行政書士として、あなたの事業の実態に合わせた契約書の整備・文面調整をサポートします。
一緒に、安心して成長できる「信頼の形」をつくっていきましょう。

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