日本版DBS法シリーズの第1回として、今日は制度の“全体像”をできるだけわかりやすく整理していきます。私自身まだ学びの途中にありますが、だからこそ初めて触れる方にも寄り添える形でまとめられるのではないか――そんな思いで書き進めています。
日本版DBS法の正式名称は「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(令和6年法律第69号)」です。
こども家庭庁のホームページでは「こども性暴力防止法」と呼ばれています。
日本版DBS法は、子どもに関わる仕事に就く人の犯罪歴を確認し、子どもの安全を確保することを目的として設計された新しい制度です。名称だけを見ると難しく感じられますが、背景には非常にシンプルで、かつ非常に大切な考え方があります。
日本版DBS法が目指していること
日本版DBS法が最終的に守りたいものは、ただ一つ、「子どもの安全」 です。
海外では、子どもと接する仕事に就く際に“無犯罪証明”の提出が一般的な国もあります。
日本でも同じように、子どもの権利を守るための仕組みとして導入されることが決定しています。
日本版DBS法では、一定の事業者に対して、従業者が子どもに性的・暴力的な加害を行ったことがないかどうかを確認する義務が課されます。
簡単に言えば、
- 事業者が子どもと接する仕事に就く人の性犯罪前科の有無を確認する
- 万が一前科を確認した場合は配置転換等の雇用管理上の措置を講じる
- 取得した情報を適切に記録・保管する
という流れが制度の柱になります。
まず押さえるべき「3つの視点」
日本版DBS法は資料が複雑で、最初から読み始めると必ず迷います。私自身も例外ではありませんでした。そこで、今日の時点で見えてきた“全体をつかむための3つの視点”を共有します。
① 概要資料・動画=制度の全体像がつかめる
制度の範囲・対象・流れを俯瞰できるのが概要資料です。
初めて学ぶ人はここから入るのが最も理解しやすいと感じました。

② 条文=制度の根拠
義務の根拠、罰則、定義など“制度を支える土台”が条文に書かれています。
抽象度は高いものの、制度の背骨が何なのかを確認できます。
③ 有識者会議報告書=制度の背景
この制度がどのような議論を経て形作られたのか、なぜこのスキームが採用されたのかが書かれています。
これを読むことで、どのような議論があり制度設計されてきたのかが理解できるでしょう。

この3つを行き来することで、徐々に制度の全容が見えてくるはずです。
対象となる事業者の考え方
日本版DBS法の特徴の1つは、「どの事業が対象になるか」が非常に細かく規定されている点です。
ここで押さえておきたいキーワードが、 「支配性」「継続性」「閉鎖性」 の3つです。
これらの条件を満たす場合、子どもと接する環境の“安全性担保”の観点から事業者は制度の対象となり得ます。
詳細は次回の記事で掘り下げますが、例えば次のような事業が含まれる可能性があります。
- 学習塾、習い事教室
- スポーツクラブ、スポーツ教室
- 英会話教室
- 民間学童や各種教室
一見小規模な副業レベルの教室も該当する可能性があるため、起業支援の視点からも非常に重要なテーマです。
犯罪事実確認の仕組み
事業者は、子どもに関わる従業者について、一定の犯罪に関する事実の有無を確認する必要があります。
重要なのは、
「確認の方法」はもちろんのこと「確認した記録を適切に管理すること」 が求められる点です。
ただ確認するだけで終わらず、その後の運用も丁寧に扱う必要があることが、制度の難しさであり、行政書士がサポートできる部分でもあると感じています。
私が感じていること
資料を読み進めるほど、今日改めて強く感じたのは、
“この制度は、説明を受けなければ一般の方にはなかなか届かない” という事実です。
事業者は忙しく、行政文書を丁寧に読み込む時間がありません。法律も抽象的で、報告書は膨大。
制度を正しく理解し、実務に落とし込むには、誰かが“かみ砕き役”を担う必要があります。
行政書士として、私はその役割を果たしていきたいと思っています。
明日は「日本版DBS法の対象事業者とは何か?」をテーマに、より具体的に整理していく予定です。起業や副業で教室を始めたい方にも関係の深い話なので、ぜひ続けて読んでいただければ嬉しいです。
制度の解説だけでなく、私がなぜここまで日本版DBSに情熱を注いでいるのか、その「原点」と「決意」を綴りました。ぜひ一度お読みいただければ幸いです。
日本版DBSの導入について、少しでも不安があればご相談ください。
まずは現状の整理からお手伝いします。

