【ゼロからわかる日本版DBS #02】「ウチは対象?」認定取得のための“5つの境界線”をセルフチェック

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2026年12月25日、いよいよ「日本版DBS(こども性暴力防止法)」が施行されますが、昨日(2026年1月9日)、昨年末に発表されていた「こども性暴力防止法施行ガイドライン(案)」の正式版がリリースされましたので、最新のガイドラインに準拠した解説を行ってまいります。

前回は制度の全体のロードマップについて解説をしました。

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今回はより具体的に「自分たちの事業は、日本版DBSの認定を受けられるのか?」という点について解説します。

実は、こどもに教える事業であればすべてが認定を受けられるわけではありません。 法律や施行令では、明確な「境界線」が引かれています。特に、学習塾やスポーツクラブ、習い事教室などの「民間教育保育等事業者」が国から認定を受けるためには、いくつかの厳しい要件をクリアする必要があります

今回は、自社が対象になるかどうかを判断するための「5つのチェックポイント」を詳しく解説します。

目次

認定を受けるための「5つのハードル」

民間事業者が国から認定を受けるためには、法律で定められた要件を満たしている必要があります。特に「民間教育事業(学習塾やスポーツ教室など)」については、以下の5つの条件がカギとなります。

対象は「こども」ですか?

大前提として、児童等(18歳未満など)に対して技芸(スポーツ、音楽、学習など)や知識を教える事業であることが必要です。

期間は「6ヶ月以上」ですか?

単発のイベントや、夏休みだけの短期教室は原則として対象外です。法律では「標準的な修業期間が6ヶ月以上」であることが求められます。継続的にこどもと関わるからこそ、リスク管理が必要になるという考え方です。

指導は「対面」ですか?

完全にオンラインのみで行う指導や通信教育は、認定の対象外となります。法律で「対面による指導を行うものであること」と明記されているためです。密室や身体接触のリスクが高い「対面」が重視されています。

場所は「事業者が用意した施設」ですか?

ここが重要なポイントです。
事業者が管理する教室やスタジオ、あるいは事業者が指定した場所(公民館の個室やレンタルスペース等)で行う場合は対象です。
一方で、「こどもの自宅」に訪問して行う家庭教師や、個人のベビーシッターは、原則としてこの要件を満たさないため対象外となります。ただし、ベビーシッターでもマッチングサイト運営者が主体となって保育を提供する「認可外保育施設」として届け出ている場合は、対象になり得ます。

スタッフは「3人以上」ですか?

これが最も大きな分水嶺となるでしょう。
「技芸又は知識の教授を行う者の人数が3人以上」であることが要件とされました。 つまり、「先生が1人〜2人で運営している個人のピアノ教室や学習塾」は、日本版DBSの認定を受けることができません

なぜ「個人教室」は対象外なのか?

「こどもの安全を守るのに、規模は関係ないのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、日本版DBSの仕組みは、「事業者」が国から犯歴情報の提供を受け、それに基づいて「事業者」が対象者を配置転換するなどの安全確保措置を講じるものです

もし、先生が1人しかいない教室で、その先生自身の犯歴をチェックしようとしても、「チェックする人」と「される人」が同一になってしまい、組織的な管理機能が働きません。また、2人の場合でも、相互監視や組織的な安全管理体制(情報管理など)を維持することが難しいと判断されています。 そのため、「組織として安全管理ができる体制(=3人以上)」があるかどうかが、認定の分かれ道となります。

「認定」がもたらす経営的メリット

「認定を受けられる」ということは、単に法律を守っているというだけでなく、「国が定めた厳しい基準で、こどもの安全を守る体制ができている」という証明になります。

認定を受けた事業者は、こども家庭庁のウェブサイトで公表されるだけでなく、施設の入口やウェブサイト、求人広告などに「認定事業者マーク(通称:こまもろうマーク)」を表示することができます。

モチーフには、こどもをしっかり見て守る「フクロウ」が採用されており、保護者から見ても「この教室は安全対策に取り組んでいる」と一目で分かるデザインになっています。

保護者が大切なお子さんを預ける先を選ぶ際、このマークがあるかどうかが、今後大きな判断基準になっていくことは間違いありません。 逆に言えば、「要件(3人以上など)を満たしているのに、あえて認定を取らない」という選択は、「安全管理にコストをかけない事業者」というメッセージを市場に送ることになりかねず、経営的なリスクにもなり得ます

まとめ:まずは自社の立ち位置を確認しよう

今回のチェックポイントをまとめます。

  • こども向け(原則として18歳未満)の事業である
  • 6ヶ月以上継続するプログラムである
  • 対面指導がある
  • 自分の教室や指定の場所で行っている
  • 指導者は3人以上いる(アルバイト・パート含む)

これら全てにチェックが入る事業者の皆様は、「認定取得に向けた準備」を今すぐ始めるべき対象者です。 なお、認定申請の手数料は、電子申請の場合は3万円(書面申請は3万1500円)と定められました。決して安くない金額ですが、それに見合う「信頼」を得るための投資と考えるべきでしょう(手続きや運営を専門家のサポートを受ける場合は別途費用がかかります)。

次回は、経営者の方が最も気になる「認定取得の費用(コスト)」と「メリット」について。
国に支払う申請手数料はいくらかかるのか? また、金銭面以外に発生する「見えないコスト」とは? それでも認定を取得すべき経営的なメリットについて、詳しく解説します。

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