情報が“頭の中”にある状態、もう限界では?
個人事業主やフリーランスとして複数のクライアントを抱えていると、「誰に・何を・いつ話したか」を覚えておくのはかなりの負担です。
メール、議事録、PDF、スライド……資料が散らばり、探すだけで時間が過ぎていく。
私自身も、打合せ前に「どの資料に何を書いたか」を確認するのに1時間かかることがありました。
そんな課題を根本的に変えたのが、GoogleのNotebookLMです。
このAIノートを活用し始めてから、資料整理・履歴管理・再提案のスピードが劇的に早くなりました。
NotebookLMとは──“自分の資料だけで答えるGoogle製AIノート”
NotebookLMは、Googleが開発した生成AI搭載ノートサービスです。
2025年現在、日本語にも正式対応しており、Googleアカウントを持っていれば無料で利用できます。
NotebookLMの詳細は こちらのGoogle公式note に詳しく紹介されています。
Googleドキュメント、スライド、PDF、Web記事、音声などを「ソース」として追加しておくと、NotebookLMがその内容をもとに要約・質問応答・レポート生成を行ってくれます。
つまり、NotebookLMは“自分の資料だけで答えるAI”。
他のAIチャットのようにインターネット上の情報を参照するわけではなく、自分が与えた情報の範囲だけを根拠に回答するのが特徴です。
この仕組みは、生成AIの中でも「RAG(Retrieval Augmented Generation)」と呼ばれるもの。
誤回答(ハルシネーション)が起きにくく、業務利用にも非常に向いています。
クライアント別活用のメリット
① クライアント単位でナレッジを一元管理
NotebookLMでは「ノートブック」という単位で情報をまとめられます。
クライアントごと、または案件ごとにノートを作っておくと、そのクライアントに関するすべての資料をAIが理解した状態で質問に答えてくれます。
たとえば「株式会社■■■■|2025年度支援」というノートを作成し、議事録・契約書・提案資料を追加しておけば、
「このクライアントの契約条件を教えて」
「前回の提案で話した主な改善点を3つ挙げて」
と聞くだけで、NotebookLMが即座に根拠付きで回答します。
まるでクライアントごとに専属のAI秘書がついているような感覚です。
② 履歴から瞬時に検索・根拠提示
NotebookLMの優れた点は、回答時にどの資料のどこを参照したかを明示してくれること。
「前回の打合せの決定事項をまとめて」
「以前の提案と今回の違いを教えて」
こうした質問をすると、該当部分を引用付きで提示してくれます。
インターネット情報に基づく曖昧な回答ではなく、
自分の資料を根拠とした正確な応答が得られるのです。
結果として、議事録を探す・確認する・再整理する時間が圧倒的に減ります。
③ 精度を保つノート設計(分割・年度要約の活用)
NotebookLMには情報量の上限があり、1つのノートブックに大量の資料を詰め込むと、AIが情報を見切れなくなることがあります。
そのため、プロジェクト単位や年度単位でノートを分ける運用が基本です。
目安として、1ノートあたり10〜15件のソースを登録すると安定して動作します。
長大なPDFは章ごとに分割し、扱いやすく整理しておきましょう。
さらに実践的な方法として、前年度のノートをNotebookLM自身で要約し、その要約を新年度ノートのソースとして追加しておくのもおすすめです。
これにより、AIが「前年までの経緯や課題」を把握した状態で新しい年をスタートでき、「前年との比較」や「継続案件のフォロー」がスムーズに行えます。
このようにNotebookLMを“継承型ノート”として扱うことで、クライアントごとの知識が年次で蓄積・更新されていく。
まさに、AIがあなたの業務を記憶し続ける仕組みになります。
実装ステップ
- ノートを作成:クライアント名+案件名でノートブックを新規作成
- ソースを追加:過去の議事録、契約書、提案資料などを登録
- 質問して使う:「この案件の決定事項を3行で」「次回打合せのアジェンダを作って」
- 更新を習慣化:打合せ後は必ず議事録を追加するルールを設ける
- 要約を活用:NotebookLMの自動要約をメール返信や報告書に転用
この運用を続けるだけで、「探す・思い出す・整理する」時間が激減します。
セキュリティ運用:安全に使うための5原則
AIを活用する上で、セキュリティへの配慮は絶対に欠かせません。
NotebookLMも例外ではありません。
- 機密の“生データ”は入れない
個人情報・未公開数値・契約金額などはマスキングした資料を使うのが安心です。 - アカウントは業務専用のものを使う
Google Workspace(有料版)を使えば、アクセス制御や監査機能が強化されます。 - 共有は最小限に
NotebookLMのノートは原則、自分専用で運用。共有が必要な場合も特定の相手に限定。 - 入力=オンライン送信であると理解する
NotebookLMはGoogleのクラウド上で動作します。完全ローカルではないことを意識し、取り扱う情報を選別しましょう。 - 法的文書のドラフトは“叩き台”扱いに
AIが作る契約書や同意書は便利ですが、最終確認は必ず自分、または専門家の目で。
NotebookLMは業務適性の高いAIですが、Google Workspace環境(有料版)で運用することで安全性が高まります。
まとめ:AIに“記憶”を任せ、思考と提案に集中する
NotebookLMをクライアント別に使うことで、過去のやり取りを「探す」「覚えておく」必要がほとんどなくなります。
AIが記憶を保持し、あなたは事業運営と思考、クライアントへの提案に集中できる。
これが、個人事業主の業務効率を劇的に変えるDXの第一歩です。
NotebookLMは単なるノートではなく、あなたの仕事を理解し、引き継ぎ、育てていく“AI秘書”なのです。
ご相談のご案内(生成AIアドバイザー)
私は生成AIアドバイザー/行政書士として、NotebookLMをはじめとする生成AIの導入支援・安全な運用アドバイス等を行っています。
- クライアント別ノート設計と命名ルールづくり
- 年度引き継ぎ要約の自動化(AI継承設計)
- NotebookLMとGemini・ChatGPTの使い分け支援
- 情報マスキング・リスク管理の導入相談
「自分の業務にNotebookLMをどう活かせるのか?」
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